「冷えは体質だから」と我慢していませんか? 秋から始める養生と中医学のご相談

コラム

「冷えは体質だから」と我慢していませんか? 秋から始める養生と中医学のご相談

2026.10.09
秋の室内に置かれた温かい飲み物と柔らかな衣服

靴下を重ねても足先が冷たい。周りの人は平気なのに、自分だけひざ掛けが手放せない。秋から冬へ向かう時期は、そんな「冷え」が気になり始める季節です。毎年のことだからと、相談せずに過ごしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

冷えへの向き合い方は、もっと我慢することでも、ただ熱く温めることでもありません。いつ、どこが、どのように冷えるのかを確かめ、生活の工夫と必要な診療を組み合わせていくことが大切です。今回は、中医学の考え方も紹介しながら、秋のうちに始められる対策と、ご相談いただきたい変化をお伝えします。

まずは「自分の冷え方」を言葉にしてみましょう

ひと口に冷えといっても、手足の先だけが冷える方、お腹や腰の冷たさが気になる方、全身が寒く感じる方では、困りごとが違います。朝の着替えのときなのか、職場で座っているときなのか、寝床に入ったときなのか。冷えを感じる場面も、診察で大切な手がかりになります。

「何度以下なら冷え症」という数字だけで、ご本人のつらさを測ることはできません。逆に、手先が冷たいという一つの情報だけで、原因や合う薬が決まるわけでもありません。以前から変わらないのか、最近急に気になるようになったのかも、ぜひお聞かせください。

更年期には「冷えるのに、のぼせる」こともあります

更年期は、閉経を挟む前後約5年間を指します。この時期は女性ホルモンであるエストロゲンが大きく揺らぎながら低下し、体温や血管の収縮・拡張を調節する働きにも影響が及びます。冷えだけでなく、ほてり、発汗、不眠、気分の変化などが重なって現れることがあります。

「足は冷たいのに顔が熱い」「汗をかいた後に寒くなる」。こうした訴えは矛盾しているわけではありません。手足の冷えと顔の熱感が同時に起こる「冷えのぼせ」では、全身を厚着で包むと上半身のつらさが増すこともあります。冷える部位と熱く感じる部位を分けてお伝えください。

月経の間隔や量の変化、最後の月経の時期も、相談の手がかりです。ただし、この年代の不調をすべて更年期と決めつけず、ほかの病気も確認します。仕事や睡眠に支障があるなら、「閉経すれば落ち着くだろう」と我慢せずご相談ください。

更年期の治療には漢方薬のほか、症状や持病に応じて女性ホルモン補充療法などの選択肢があります。冷えだけで適応を決めるのではなく、ほてりや発汗を含む全体の症状を評価し、必要に応じて婦人科での診療も組み合わせます。

「証」は、生まれつきの体質につける固定の名前ではありません

中医学・漢方では、その時点の心身の状態を整理して治療につなげる「証(しょう)」という考え方を用います。生まれつきの体質だけでなく、今ある症状、経過、体力、診察所見などを合わせて捉えるものです。「私は冷え体質だから、一生同じ薬」という意味ではありません。

状態を見分ける過程を中医学では「弁証(べんしょう)」と呼び、その判断に基づいて治療方針を考えます。季節や生活、体調が変われば、証や処方を見直すこともあります。同じ冷え症という病名でも、合う対処が異なる理由の一つです。

診察では、寒さと熱さのどちらが目立つかという「寒熱」、体の力が不足している状態かなどを見る「虚実」、さらに「気・血・津液」といった伝統的な概念も手がかりにします。これらは現代医学の検査項目と一対一に対応するものではありません。例えば「血虚」は、そのまま血液検査でいう貧血と同じ意味にはなりません。

同じ「足の冷え」でも、聞きたいことは違います

証の見方を、診察で伺う内容に置き換えてみましょう。冷えとともに疲れやすさや食欲低下があるなら、食べる量、便通、休むと楽になるかも確認します。伝統的には、気の不足などを検討する手がかりになります。寒がりが強く温めると楽になる場合も、その程度や全身の状態を合わせて見ていきます。

一方、冷えとのぼせが交互に出る方では、発汗、睡眠、月経の変化、気分や緊張との関係を伺います。「冷たいから温める薬」と直結させず、熱く感じる症状も含めて考えることが大切です。頭痛や月経痛、むくみなどがあれば、それもお知らせください。

例えば、同じ「夜に足が冷たい」という相談でも、食が細く疲れやすい方と、顔のほてりで目が覚める方では、診察で整理する情報が違います。これは見方を説明するための例で、この組み合わせだけで証や薬が決まるわけではありません。

インターネットのチェックで一つの型に当てはまっても、自己判断で処方を選ぶためではなく、ご自身の状態を伝えるきっかけとしてお使いください。「どの証でしょうか」「なぜこの処方なのでしょうか」と診察でお尋ねいただいて構いません。

MMC虎ノ門では、四診を通して処方を考えます

みらいメディカルクリニック虎ノ門では、舌や見た目を確認する望診、声などをみる聞診、お話を伺う問診、脈やお腹などを確認する切診という「四診」を案内しています。冷える部位だけでなく、体全体の状態を把握するための診察です。

処方は、診察に基づいて医療用エキス剤や個別の生薬処方などを検討します。剤型が違うだけで効き目の優劣が決まるものではありません。ご本人の状態に合う処方か、無理なく続けられるかも相談しながら考えます。

漢方薬にも副作用や飲み合わせへの注意があります。市販薬に別の漢方薬を足すと生薬が重なる場合があるため、現在使っているものをお知らせください。治療後は冷えの強さだけでなく、睡眠や食欲なども振り返り、必要に応じて方針を見直します。

更年期や証の評価と、病気の確認を並行して

以前と違う冷えが続く場合は、現代医学の視点でも原因を確かめます。疲れや体重、便通の変化が重なる場合などには、甲状腺の病気なども検討します。冷えが強くなった、生活に支障があるというときは、温めるだけで済ませずご相談ください。

今日からの工夫① 衣服と部屋を、調整しやすく

冷え対策は、厚着を一度に増やすよりも、脱ぎ着しやすい重ね着から試してみませんか。薄手の上着やひざ掛けなど、場所に合わせて調整できるものを用意しておくと便利です。外出時には手袋なども活用し、寒い場所への移動に備えましょう。

家では、長く過ごす場所を見直してみてください。窓際の椅子、足元に冷たい空気が入りやすい机など、いつも冷えを感じる場所があるかもしれません。座る位置を変える、部屋の温度を確かめるといった小さな調整から始めていただけます。

今日からの工夫② 温かい食事を、無理なく楽しむ

温かい汁物や飲み物は、寒い日にほっとできる選択肢です。朝食に温かい一品を添える、お昼の飲み物を好みの温度にするなど、続けやすい形を選んでみてください。熱いほどよいわけではありませんので、口にしやすい温度で楽しみましょう。

一方、「この食材を食べれば冷えが治る」と一品に頼ったり、冷えを恐れて食べられるものを極端に減らしたりすることはお勧めしません。主食に加え、魚・肉・卵・大豆製品などのおかずと野菜を組み合わせるなど、普段の食事全体を大切にしましょう。

今日からの工夫③ 座り続ける時間に、小さな区切りを

温かい部屋でも、気がつけば同じ姿勢で長時間過ごしていることがあります。電話の後に少し室内を歩く、家事の合間に姿勢を変えるなど、体調に合う範囲で体を動かすきっかけをつくってみましょう。

冷えを改善したいからと、急に強い運動を始める必要はありません。歩行が不安定な方や足腰に痛みがある方は、立って動くことにこだわらず、安全な方法をご相談ください。前回ご紹介した室内運動も、ご自身の状態に合うものを選ぶことが前提です。

カイロや湯たんぽは、「心地よい温度」でも注意を

冷えがつらいと、温かいものをずっと当てたくなります。ただし、心地よく感じる程度の温度でも、同じ場所に長く触れていると低温やけどが起こることがあります。熱くないから安全、タオルで包んでいるから大丈夫、とは限りません。

湯たんぽは寝具を温めるために使い、就寝前には布団から出しましょう。カイロや電気式の暖房器具も、製品の説明に従い、同じ部位に長時間当て続けないことが大切です。「温める」を「熱を当て続ける」にしないよう、使い方を見直してみてください。

受診の前に、三つだけメモしてみませんか

一つ目は、冷える場所と時間帯です。「手だけ」「両足」「夜に強い」など、短い言葉で構いません。二つ目は、一緒に起こる症状です。痛み、しびれ、色の変化、疲れ、食欲や便通の変化など、気になるものを挙げてください。

三つ目は、試した対策とその結果です。「靴下では変わらない」「場所を変えると楽」といった経験も役立ちます。すべてを毎日記録する必要はありません。診察の日に思い出すのが難しければ、数回分を書き留めておくだけでも十分です。

お薬手帳もご持参ください。市販の漢方薬やサプリメントを使っている場合は、商品名の分かる箱や写真があると確認しやすくなります。処方薬をご自身の判断で中止してから来院する必要はありません。今使っているものを含めて、今後の方針をご相談しましょう。

我慢する冬になる前に、MMC虎ノ門へ

みらいメディカルクリニック虎ノ門では、内科・漢方内科の診療を行い、冷え症についてもご相談を受けています。「漢方を飲むと決めてから」受診する必要はありません。まずはお困りのことを伺い、診察を通して、ご自身に合う対処や治療を一緒に考えていきます。

冷えに向き合う第一歩は、自分のつらさを軽く扱わないことです。衣服や食事、過ごし方を少し整えながら、続く症状や変化は医療機関へ。毎年のことと諦めず、秋のうちに一度ご相談ください。診療日や受診方法は、MMC虎ノ門の公式ホームページをご確認ください。

MMC虎ノ門の診療案内・受診方法はこちら

オンライン診療

Instagram

TikTok

承継のご相談