
「ドラッグストアの漢方薬と、クリニックで処方される漢方薬は何が違うのでしょうか」「煎じ薬に興味はあるけれど、毎日準備するのは大変そう」。漢方を考えたとき、こんな疑問を持つ方もいらっしゃると思います。秋になって冷えや胃腸の不調が気になり、いつもの薬を見直したくなることもあるでしょう。
みらいメディカルクリニック虎ノ門(MMC虎ノ門)では、中医学の考え方に基づき、その方の症状や体の状態を診ながら治療をご提案しています。選択肢には医療用の漢方エキス剤も、複数の生薬を個別に組み合わせる処方もあります。今回は、市販薬との違いと、暮らしに合わせた薬の形の選び方をご紹介します。
「どこで選ぶか」と「どんな形で飲むか」は別の話です
まず整理したいのは、「市販薬と医療用の薬」という区分と、「エキス剤と煎じ薬」という区分は同じではない、ということです。市販の漢方薬にはエキス剤が広く使われていますが、医療機関でもエキス剤を処方します。「病院の漢方はすべて煎じ薬」というわけではありません。
エキス剤は、生薬から抽出した液を濃縮・乾燥し、顆粒や錠剤などに加工したものです。一方、煎じ薬は、生薬を水で煮出して、その液を服用します。どちらも生薬をもとにしていますが、製法や服用時の形が異なります。
ここを分けて考えると、相談したいことが見えてきます。「自分に合う処方を診察で選んでほしい」のか、「生薬の組み合わせを細かく調整したい」のか、「飲む準備の負担を減らしたい」のか。薬の名前だけでなく、困っていることや希望もお伝えください。
中医学では、同じ症状でも体全体の状態を診ます
当院では、見た目や舌の状態を観察する「望診」、声などを手がかりにする「聞診」、症状や生活について伺う「問診」、脈やお腹などを診る「切診」という四診を通して、体の状態を捉えます。集めた情報から、中医学の考え方で状態を整理して治療方針を立てることを「弁証」といいます。
例えば「冷える」という訴えでも、食欲が落ちているのか、眠りにくいのか、ほてりもあるのかによって、伺いたい内容は変わります。一つの症状名だけで薬を決めるのではなく、複数の不調の現れ方を確認していくのが診療の特徴です。
こうした「証」は伝統医学の診療上の枠組みです。血液検査などで確かめる現代医学の病名と、そのまま一対一に対応するものではありません。診察では、持病や検査結果、現在の治療内容も含めて考えます。検査で異常がないと言われた不調でも、ご自身が困っていることを具体的にお聞かせください。
市販のエキス剤と、医療機関のエキス剤の違い
市販の漢方薬は、製品に記載された症状や体力などの条件を確認して購入する一般用医薬品です。選び方に迷うときは、薬剤師や登録販売者に相談できます。身近な場所で購入できる一方、ご自身の判断でいくつも追加したり、合わないまま続けたりしないことが大切です。
医療機関では、診察で状態を確認し、医師が処方を選びます。当院でも医療用漢方エキス剤を扱っており、保険診療での処方が選択肢になります。処方後の変化を診ながら見直せることも、受診して治療を進める意義です。
同じ処方名でも、市販品と医療用、あるいは製品同士で、一日分の成分量や用量などが異なることがあります。「同じ名前だから同じ袋数でよい」とは限りません。また、市販品がすべて薄い、医療用なら必ず強い、という単純な違いでもありません。比較するときは、製品名と一日量が分かる箱や説明書をご持参ください。
エキス剤は製品として生薬の構成が決まっています。その中から状態に合う処方を選ぶことと、一つひとつの生薬の量を個別に変えることは、別の調整です。この違いが、次にご紹介する生薬処方を理解するポイントになります。
生薬を個別に組み合わせる、当院の処方
当院の自由診療の生薬処方では、診察で捉えた状態に合わせて、生薬の種類や量を検討します。決まった製品を選ぶだけでなく、処方内容を個別に調整できる点が特徴です。その後も、症状や体の状態の変化に応じて処方を見直していきます。
ただし、個別処方だからどのような不調にも必ず効く、あるいはエキス剤より常に優れている、という意味ではありません。何を改善したいか、これまでの治療でどう変わったか、服用を続けられるかなどを踏まえて選択します。
初めから煎じ薬と決めて受診する必要はありません。「まずはエキス剤について相談したい」「以前の漢方が合わなかったので、処方を見直したい」といったご希望もお伝えください。薬の選択肢と費用を確認し、ご納得いただける形で治療を進めましょう。
煎じ薬は、自宅で煎じる方法と「煎じパック」から
自宅で煎じる場合は、処方された生薬を、案内された水量や時間に沿って煮出します。毎日の準備時間や調理環境が必要になるため、仕事や家事との両立も考えておきたいところです。煎じ方を自己流で変えず、不明点はご確認ください。
「その時間を確保しにくい」という方には、院内の専用機器で煎じて分包する、液体の「煎じパック」という選択肢があります。これはエキス剤を溶かしたものではなく、生薬を煎じた液をパックにしたものです。個別の生薬処方を、自宅で煎じる手間を減らして取り入れられます。
煎じパックの利用には別途手数料がかかります。保存方法、使用期限、持ち運びや服用方法は、受け取り時の案内に従ってください。「液体なら常温でいつまでも置ける」というものではありません。通勤先で飲みたい、旅行に持参したい場合も、あらかじめご相談ください。
選択肢を整理すると
| 比較する点 | 市販の漢方エキス剤 | 当院の医療用漢方エキス剤 | 当院の個別の生薬処方 |
|---|---|---|---|
| 選び方 | 表示を確認し、販売店でも相談 | 診察をもとに医師が選択 | 診察をもとに生薬の種類・量を検討 |
| 処方内容 | 製品ごとに決まっている | 決まった製剤から選択 | 状態に合わせて個別に調整 |
| 飲むときの形 | 顆粒・錠剤など製品による | エキス顆粒など | 煎じた液。自宅で煎じる方法、院内煎じパック |
| 準備の手間 | 煎じる必要なし | 煎じる必要なし | 自宅での煎じ作業、またはパックの利用 |
| 費用の扱い | 商品の購入費用 | 保険診療の対象となる処方 | 当院では自由診療。パックには別途手数料 |
表は当院の案内に沿った整理です。具体的な適応や費用は診察時にご確認ください。薬の形だけで効果を順位づけるための表ではありません。
無理なく続けるために、生活のこともお聞かせください
薬を選ぶ際は、「昼間は職場で飲む」「粉薬が苦手」「家では煎じられるが出張がある」など、日々の予定も大切な情報です。味やにおい、服用回数が負担になりそうな場合は、遠慮なくお伝えください。続けにくさを我慢して、自己判断で量や回数を変えるより、早めに相談していただくことをご提案します。
受診前には、最も困っている症状と、いつから始まったかをメモしてみましょう。食事、睡眠、便通、冷えやほてりの変化も、分かる範囲で十分です。すべてを細かく記録する必要はありません。お薬手帳に加え、市販薬やサプリメントの名前、最近の検査結果があればご持参ください。
治療を始めた後も、「少し楽になった点」と「まだ困っている点」の両方をお伝えください。体調の変化を共有しながら、次の診察で処方や生活上の工夫を検討していきます。
自然由来の薬でも、飲み合わせの確認は必要です
漢方薬にも副作用はあります。異なる名前の処方に同じ生薬が含まれることがあり、市販薬と処方薬を重ねると、意図せず成分が重複する場合があります。特に甘草を含む薬では、むくみや血圧上昇などに注意が必要です。薬を追加するときは、現在飲んでいるものを確認してもらいましょう。
服用後に発疹やむくみなど、いつもと違う症状が出た場合は、服用を中止して医師・薬剤師にご相談ください。息苦しさなど強い症状があれば、速やかに医療機関を受診してください。ほかの病気の治療薬を、ご自身の判断で漢方薬に置き換えることも避けましょう。
ご自身に合う処方と、続けられる方法を一緒に
市販薬、医療用エキス剤、個別の生薬処方は、それぞれ選び方や調整の幅が異なります。MMC虎ノ門では、中医学の診察を通して体の状態を確認し、生活にも配慮した治療をご提案します。「どの薬を買うか」で迷っている方も、一度ご相談ください。
診療内容やご予約については、MMC虎ノ門の公式ホームページをご確認ください。ご自身に合う処方と無理なく続けられる方法を、一緒に考えていきましょう。
