健診で「腎機能低下」「尿たんぱく」を指摘されたら。腎臓を守るために今できること

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健診で「腎機能低下」「尿たんぱく」を指摘されたら。腎臓を守るために今できること

2026.10.29
尿検査容器と健診結果を置いた明るい診療室

健康診断の結果に「eGFRが低い」「尿たんぱく陽性」と書かれていても、痛みもなく、普段どおりに過ごせていると、そのままにしてしまいがちです。一方で、数値を見て「もう透析になるのでは」と不安になる方もいらっしゃいます。腎臓の評価で大切なのは、一つの数字だけで結論を出さず、尿検査と血液検査、過去からの変化を合わせて確認することです。今回は、健診結果を受診につなげるための読み方と、日常生活で取り組める工夫をご紹介します。

1)症状がない時期こそ、検査結果が手がかりになります

腎臓は血液をろ過して老廃物を尿へ出し、体の水分や塩分などのバランスを整えています。慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の障害や働きの低下が続く状態の総称です。初期には自覚症状が乏しく、「尿が出ているから大丈夫」とは判断できません。尿量が保たれていても、老廃物を処理する力が低下していることがあります。

CKDは、たんぱく尿などの腎障害、またはeGFRが60mL/分/1.73㎡未満の状態が、3か月を超えて続くことなどから診断します。ただし、これは「3か月間は受診せずに待つ」という意味ではありません。急に腎機能が落ちた場合は早い評価が必要です。健診で再検査や精密検査を勧められたら、症状がなくても結果を持ってご相談ください。

2)eGFRと尿たんぱくは、別の角度から腎臓を見ています

eGFRは、血液中のクレアチニン、年齢、性別などから推定する、腎臓のろ過能力の指標です。クレアチニンは筋肉に由来する老廃物なので、筋肉量などの影響も受けます。数値は腎臓そのものの大きさや「残り寿命」を示すものではありません。必要に応じて、シスタチンCという別の指標などを使い、評価を補うことがあります。

尿たんぱくは、本来体に必要なたんぱく質が尿へ漏れていないかを見る検査です。糖尿病などでは、尿中のアルブミンを詳しく測ることもあります。eGFRが保たれていても、たんぱく尿が続けば腎臓の病気が隠れている可能性があります。反対に、尿たんぱくが陰性でも、腎機能低下を否定できるわけではありません。

例えば「去年よりeGFRが下がった」というときは、下がり方や尿の所見、血圧、服薬、体調を一緒に確認します。発熱や脱水、運動などの影響で検査値が変わる場合もあります。1回の異常だけで慢性の病気と決めつけず、医師が必要な時期に再検査し、持続しているかを判断します。

検査結果は、前年分と並べてみましょう

健診結果を整理するときは、eGFRだけでなく、クレアチニン、尿たんぱく、尿潜血、血圧、血糖の欄にも目を向けてみてください。毎年同じ項目を並べると、今回だけの変化なのか、数年かけて変わってきたのかを相談しやすくなります。ただし、基準範囲内かどうかだけで受診の必要性が決まるわけではありません。糖尿病や高血圧の治療中の方は、かかりつけ医に結果を共有しましょう。

診察で尋ねたいことは、「尿の異常は続いていますか」「再検査はいつですか」「自分に必要な食事の調整は何ですか」の3点から始めると分かりやすくなります。検査値を自分で採点するより、次に取る行動を明確にすることが役立ちます。食事記録や普段の薬の写真を残しておくことも、生活に合った方針を考える材料になります。忙しくて通院日を決めにくい場合も、再検査の期限を確認し、先に予定に入れることをご提案します。

3)腎臓だけでなく、心臓や血管も守る視点を

CKDの原因には糖尿病、高血圧、腎炎などがあり、原因によって治療が異なります。腎機能の低下やたんぱく尿は、将来の腎不全だけでなく、心臓や血管の病気のリスクとも関係します。したがって、腎臓の数字だけを追うのではなく、血圧、血糖、脂質、喫煙などをまとめて見直すことが大切です。

家庭血圧の記録があれば、診察室だけでは分かりにくい普段の状態を把握する助けになります。血圧や血糖の目標は、年齢、たんぱく尿、立ちくらみの有無、他の病気などに応じて決めます。「低ければ低いほどよい」と自己判断で薬を増やすことは避けてください。治療中の数値が改善していても、薬をやめてよいとは限りません。

4)食事は、まず塩分を見直すところから

腎臓を守る食事では、塩分の取りすぎを減らすことが基本になります。汁物の回数を減らす、麺類の汁を残す、しょうゆやソースを「かける」から少量「つける」に変えるなど、続けやすい工夫をご提案します。加工食品や総菜は栄養成分表示の「食塩相当量」を確認し、1食だけでなく1日全体で考えてみましょう。

一方で、腎臓が気になるからといって、肉・魚・卵を極端に減らすのは適切ではありません。必要なたんぱく質の量は、腎機能、体格、栄養状態、透析の有無などで異なります。食事量が落ちている方や筋肉が減っている方は、厳しすぎる制限によって低栄養につながる心配もあります。

カリウムについても、すべての方が野菜や果物を制限するわけではありません。血液検査や薬の内容を見て判断します。カリウムを含む減塩調味料にも注意が必要な場合があります。「腎臓によい食品」を一つ増やすより、現在の食事を医師や管理栄養士と確認し、ご自身に必要な調整を行いましょう。

5)水をたくさん飲めばよい、とは限りません

脱水は腎臓に負担をかけることがありますが、大量の水を飲めば腎機能が回復するというものではありません。むくみ、心不全、進んだ腎機能低下、透析治療中などでは、水分の取り方を個別に調整します。普段から水分制限の指示がある方は、その方針を優先してください。

発熱、下痢、嘔吐などで食事や水分が取れなくなったときは、いつもと同じ生活管理でよいとは限りません。尿量が減った、強いだるさがある、立つとふらつくといった変化も合わせて医療機関へ連絡しましょう。体調不良時に薬をどう扱うかは、日ごろから確認しておくと安心です。

6)市販薬・サプリメントも、お薬手帳と一緒に確認を

痛み止めの一部であるNSAIDsは、腎臓の血流に影響し、腎機能を悪化させることがあります。特に脱水時や、もともと腎臓の働きが低下している方では注意が必要です。市販の痛み止めや風邪薬にも含まれるため、購入時には腎機能の指摘を受けていることを薬剤師に伝えてください。

処方薬だけでなく、サプリメント、漢方薬、プロテインなども、商品名と量が分かるようにして受診すると確認が進みます。「天然」「健康によい」という表示だけで、腎臓への影響がないとは判断できません。腎機能に応じて量を調整する薬もありますが、必要な治療薬を一律に中止することも危険です。変更は医師や薬剤師にご相談ください。

7)治療は、生活改善と必要な薬を組み合わせます

診察では、原因や進行の程度を確認し、生活習慣の調整と薬物治療を組み合わせます。たんぱく尿などの条件によっては、腎臓を守る目的で特定の降圧薬が選ばれることがあります。また、SGLT2阻害薬は、糖尿病の有無にかかわらず、条件を満たすCKDの方で腎機能低下を抑えるための選択肢になります。すべての方に同じ薬を使うわけではなく、適応、腎機能、脱水や副作用のリスクを踏まえて判断します。

運動は体力や心臓の状態に合わせ、散歩や軽い筋力運動などから無理なく続けることをご提案します。禁煙や十分な休息も大切です。治療の目標は、1回の採血結果をよく見せることではなく、経過を見ながら腎臓と全身の健康を長く保つことです。

8)受診の準備と、早めに相談したいサイン

受診時には、今回と過去の健診結果、お薬手帳、市販薬やサプリメントの情報、家庭血圧の記録をご持参ください。「いつから数値が変わったか」「最近体調を崩したか」「むくみや尿の変化があるか」をメモしておくと役立ちます。次の検査の時期も確認し、症状がないからと通院を中断しないようにしましょう。

急に尿が少なくなった、むくみが急に強くなった、息苦しさがある、肉眼で分かる血尿が出た場合は、定期受診を待たずご相談ください。強い呼吸困難などがあれば救急受診が必要です。尿の泡立ちだけで病気を診断することはできないため、気になる変化は検査で確かめます。

まとめ:健診結果を、腎臓を守るきっかけに

腎臓の状態は、eGFRと尿たんぱくを組み合わせ、過去からの変化とともに評価します。症状がなくても、再検査の指示をそのままにしないことが大切です。減塩、血圧や血糖の管理、薬の確認など、できることから始めていきましょう。

みらいメディカルグループでは、腎臓内科で腎臓の病気の診療を行っています。健診で腎機能や尿検査の異常を指摘された方は、結果をご持参のうえご相談ください。受診先や診療日については、公式の腎臓内科案内からご確認ください。

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