健診でLDLコレステロールが高いと言われたら。「やせているから大丈夫」にしない見直し方

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健診でLDLコレステロールが高いと言われたら。「やせているから大丈夫」にしない見直し方

2026.10.22

魚・豆腐・野菜など、脂質管理を考えた食事

健診結果の「LDLコレステロール」に印がついていても、体調がよければ、そのままにしてしまいがちです。「太っていないから心配ない」「食事に気をつけているのに、なぜ高いのだろう」と感じる方もいらっしゃるでしょう。

脂質異常症は、自覚症状だけでは気づきにくい病気です。どの項目が高いのか、ほかの病気やご家族の体質はどうかを確認し、将来の血管の健康を守る行動につなげていきましょう。

まず、LDL・HDL・中性脂肪を分けて見ましょう

コレステロールは、細胞膜やホルモンなどの材料になる、体に必要な物質です。ただし、LDLが高い状態が続くと、血管の壁にコレステロールが蓄積し、動脈硬化が進みます。心臓では狭心症・心筋梗塞、脳では動脈硬化による脳梗塞、脚では末梢動脈疾患などにつながります。高い数値だけでなく、高い状態が続く期間も重要です。「必要な物質だから、高くてもよい」というわけではありません。

健診では、次の数値が脂質異常症を見つける目安になります。単位はいずれもmg/dLです。

LDLコレステロール:140以上。HDLコレステロール:40未満。中性脂肪(TG):空腹時150以上、食後などの非空腹時175以上。

中性脂肪は食事の影響を受けるため、採血前に食べたかどうかも確認します。再検査前の食事や服薬については、医療機関の指示に従いましょう。

「診断の目安」と「自分の治療目標」は同じではありません

LDLが140未満なら誰もが安心、ということではありません。日本動脈硬化学会の現行「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、病気を起こす前の一次予防と、発症後の再発を防ぐ二次予防を分けています。主なLDL管理目標は次のとおりです。

国内ガイドラインの主なLDL管理目標(mg/dL)
対象 目標 補足
一次予防:低・中・高リスク 160未満・140未満・120未満 リスク区分は医師が評価
一次予防:糖尿病に末梢動脈疾患・細小血管症・喫煙のいずれかを伴う 100未満 合併症を踏まえて設定
二次予防:冠動脈疾患またはアテローム血栓性脳梗塞等の既往 100未満 動脈硬化による病気の再発予防
二次予防のうち、急性冠症候群・FH・糖尿病、または冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞等の合併 70未満 より厳格な管理

FH:家族性高コレステロール血症。一次予防のFHは別に100mg/dL未満を目指します。脳梗塞等は明らかなアテロームを伴うその他の脳梗塞を含みます。高齢者では全身状態等も踏まえて個別に判断します。

特に心筋梗塞や狭心症を経験した方は、健診の判定が「正常」になっただけで治療終了とはなりません。なお、すべての心不全や不整脈、すべての脳卒中が、この二次予防区分に入るわけではありません。脚の動脈硬化なども含め、病気の種類と重なりを確認して目標を決めます。

さらに米国の2026年ACC/AHA脂質異常症ガイドラインでは、動脈硬化性心血管疾患があり、再発リスクが特に高い方は55mg/dL未満、それ以外の二次予防では70mg/dL未満を目標としています。国内外で区分が異なるため、ご自身の目標は主治医と確認し、薬の量を自己調整しないでください。

やせていても高くなる理由があります

LDLは食事や体重だけで決まるものではありません。生まれつきコレステロールを処理しにくい体質が関係することもあります。代表的なのが、遺伝性の「家族性高コレステロール血症(FH)」です。若いころからLDLが高い、ご家族にも高い方がいる、若くして心筋梗塞を起こした血縁者がいる場合は、診察時にお伝えください。

甲状腺機能の低下など、別の病気や服用している薬の影響を確認する必要がある場合もあります。「自分の努力が足りない」と食事を減らし続けず、原因を調べることが大切です。数値が非常に高い場合や、健診で受診を勧められた場合は、次の年の健診まで待たずにご相談ください。

更年期・閉経後は、女性ホルモンの変化も影響します

女性では、更年期から閉経にかけてエストロゲンが低下すると、肝臓が血液中のLDLを取り込む働きが弱まり、LDLコレステロールが上がりやすくなります。女性ホルモンが低下する一方でLDLが上昇する傾向があり、食生活が変わっていなくても健診で指摘されることがあります。

ただし、二つの数値が誰でも一定の割合で反比例するわけではなく、加齢や体質なども関係します。食事・運動は大切ですが、それだけでは目標まで十分に下がらないこともあります。その場合は無理な制限を続けず、薬物療法も含めてご相談ください。更年期症状のためのホルモン補充療法と、高LDLの治療は目的が異なり、コレステロールを下げる目的だけで女性ホルモンを補うことは推奨されていません。

男性のテストステロン値との関連は?

男性でもホルモンと脂質代謝は無関係ではありません。テストステロンが低い方では、中性脂肪の上昇、HDLの低下に加え、LDLが高い場合も報告されています。ただし、肥満やインスリン抵抗性なども関連するため、「男性ホルモンが低いからLDLが高い」と一つの原因に決めつけることはできません。

テストステロン補充療法(TRT)の脂質への影響は小さい、または一定しないため、LDLを下げる治療や心血管病予防の代わりにはしません。性欲低下などの症状があれば、必要に応じてホルモンの評価を行い、脂質の治療とはそれぞれの適応を確認します。

Lp(a)は、通常の脂質検査だけでは見えにくいリスクを知る検査

人間ドックの追加検査などで測るLp(a)(リポプロテイン・エー)は、LDLに似た粒子に特有のたんぱく質が結合したものです。主に遺伝的な影響で値が決まり、高値はLDLとは独立して動脈硬化性心血管疾患や石灰化による大動脈弁狭窄症のリスクに関連します。

2026年の米国ガイドラインは、成人で少なくとも生涯に一度の測定を勧めています。若年で心筋梗塞を起こしたご家族がいる方や、LDLだけではリスクを説明しにくい方では、特に相談する意義があります。50mg/dL以上、または125nmol/L以上がリスクを高める目安ですが、両単位は厳密な換算ではなく、結果票の単位で判断します。

食事・運動によるLp(a)自体の低下は限られます。それでも、測定結果をLDL・血圧・喫煙などの管理強化につなげる意味があります。高値だから必ず発症するわけではありません。検査の必要性や費用は医療機関にご確認ください。

食事は「全部やめる」より、脂の種類を置き換える

LDLが高い方では、肉の脂身やバター、生クリームなどに多い飽和脂肪酸の摂り過ぎを見直します。脂身の多い肉料理が続いていたら、魚や豆腐を使う日をつくる。肉は脂身の少ない部位を選び、乳製品は低脂肪の牛乳や無糖ヨーグルトも選択肢にする。こうした置き換えをご提案します。

植物由来でもココナッツオイルなどは飽和脂肪酸が多く、オリーブ油も追加し過ぎればエネルギーが増えます。油の種類と量の両方を確認しましょう。卵や内臓類など、コレステロールを多く含む食品の摂り過ぎにも注意します。高齢の方や食の細い方は、主菜まで抜いて栄養不足にならないよう、個別に調整してください。

食物繊維を足す工夫と、中性脂肪への対策

野菜、海藻、きのこ、大豆製品、未精製の穀類は、食物繊維を摂るために役立ちます。白米の一部を麦にする、麺だけの食事に豆腐と野菜の小鉢を加える、買い置きのきのこを料理に使うなど、普段の献立の中に取り入れてみてください。

腎臓病などで食事制限がある方は、野菜や大豆製品を増やす前に主治医の指示をご確認ください。

中性脂肪が高い方では、食べ過ぎに加えて、甘い飲み物、間食、飲酒の量も振り返りましょう。脂を減らしたつもりで菓子や甘い飲料が増えていては、改善につながりにくくなります。水や無糖のお茶を選ぶ、飲酒量を記録するなど、見直す場所を具体的にすると取り組みやすくなります。

運動は、無理なく続けられる量から

有酸素運動は、中性脂肪を下げたり、HDLコレステロールを上げたりすることに役立ちます。一方で、歩けば必ずLDLが十分に下がるとは限らず、食事や必要な治療も組み合わせて考えます。

運動習慣がない方は、まず体調に合わせた短い散歩や、日常の移動を少し増やすところから始めてください。無理なく運動できる方では、会話ができる程度の運動を合計30分程度行うことが目安になります。10分ずつに分けても構いません。息を切らして頑張り過ぎるより、続けられる方法を選びましょう。

心臓や関節の病気がある方、体力が低下している方は、開始前に運動の種類や量をご相談ください。胸の痛み、強い息切れ、めまいが出たら中止し、医療機関に相談します。

薬の相談は、生活改善が「失敗した」という意味ではありません

生活を整えていても、体質やリスクによっては薬が必要です。LDLを下げる治療ではスタチンなどが用いられ、必要に応じて別の作用の薬を組み合わせます。どの薬を使うかは、目標値、持病、併用薬、副作用などを踏まえて医師が判断します。

薬で数値が改善しても、食事や運動をやめてよいわけではありません。また、正常範囲になったからと自己判断で服薬を中断しないでください。治療開始後に筋肉痛など気になる症状が出た場合は、我慢せず処方元に連絡しましょう。続けにくい理由があれば、治療方法を相談できます。

診察では、健診結果とお薬手帳に加え、サプリメントの使用もお伝えください。「薬は避けたい」「飲み忘れが心配」といったお気持ちも、治療計画を立てる大切な情報です。

今週は、三つの小さな準備から

まず健診結果と過去の数値を並べ、次に普段の食事で置き換えられる一品を選び、最後に受診・再検査の予定を確認しましょう。数日分の食事写真や、飲み物・間食のメモも相談に役立ちます。

診察では「自分のLDL目標はどこか」「ホルモン変化や体質の影響は考えられるか」「Lp(a)を測る意味はあるか」を尋ねてみてください。LDLの管理は、努力不足を責めるためではなく、将来の健康を守るための取り組みです。

みらいメディカルグループでは、生活習慣病の診療として、一人ひとりに合わせた生活改善と治療をご相談いただけます。健診結果とお薬手帳をご持参ください。対応するクリニックや診療日時は、公式サイトの生活習慣病のご案内および各院の情報をご確認ください。

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